【今から実習を経験するあなたへ】
理学療法学科の3年生では7月から最後の長期実習が開始します。
私が病院に勤務していた頃、毎年学生さんが実習にきて指導者(バイザー)という形で学生さんと時間を共有させてもらう機会がありました。その際の経験を通して私なりの考えをアドバイスという形で表現したいと思います。
実習に来た学生さんは期待で目をキラキラさせている方、不安で元気がない方とさまざまでした。もちろん緊張はすると思います。適度な緊張感は人が成長するのに必要な物と感じています。ただ学生さんに対応するバイザーも緊張しています。学生さんは、あまり気負う事なく実習に臨んでほしいです。
見学実習・評価実習・長期実習それぞれ期間や達成目標が変わります。ただすべての実習において共通して必要で大切と考えていた事があります。
- 身だしなみが整えられ清潔感がある
- 時間を守る事が出来る
- 人の話をしっかり聞くことができる
- 報告・連絡・相談が出来る
- アドバイスを受け入れる心を持っている
- 向上心がある
まずは1に関しては患者様と接する上で第一印象を決める要素の一つになります。医療人として清潔感がある事は基本になります。もし自分の家族が病気になってしまい、担当となったセラピストが金髪だったり、ピアスをしていたらどう感じるでしょうか。私だったら「この人に家族を任せて大丈夫だろうか」と不信感を抱く可能性があります。患者様も同様に「怖い」や「不安」を感じリハビリを受け入れなくなる可能性も考えられます。相手の事を考えて、その場に相応しい恰好で臨みましょう。
次に2に関する内容です。時間にルーズになると患者さんの信頼を失う事があります。リハビリ介入時間に遅れる事で「時間通りに待っていたのに来なかった。もうリハビリなんてしない」そうおっしゃる患者さんもいます。またバイザーもリハの合間の大切な時間を空けて学生さんの対応をしています。時間はきちんと守りましょう。
3について、学生さんは患者さんとの話、バイザーとの話をしっかり聞く力が必要です。途中で止めてしまうと患者さんの機嫌を損ねてしまい、問診で必要な情報が不十分になる恐れがあります。また話を聞く力には相手から必要な情報を引き出す能力も含まれていると思います。相手との距離感(角度や距離)や仕草等(相づち、姿勢)コミュニケーション能力も大切です。
4に関して、デイリーノートが相談等のツールとなっている事もあります。しかしすべてをデイリーノートで把握する事は難しいです。どんなに些細な事でも良いです。自己解決してしまうと問題が出る事があります。全く相談や報告が無い学生さんよりしょっちゅう相談や報告がある学生さんの方がバイザーとしては安心感がありました。随時報告・連絡・相談してもらいたいです。
5に関しては、話を聞く事は出来るが行動に変化がない学生もいました。実例として実習中に携帯電話をポケットにいれて時間を確認している学生。持たないといけない理由があれば相談してくれたら対応できます。しかしそういう理由もなしに注意しても再度ポケットに入れて実習を受けていたケースがありました。バイザーの言っている事が全て正しいとは思いません。しかし一度受けたアドバイスはしっかり心に受け止めて欲しいです。その上で言われた通りに行動してみて、それでも腑に落ちない事や不都合を感じる場合等には再度バイザーに相談していく形が良いのではと考えています。
最後に6について、理学療法士を含む医療職は一生をかけて勉強し続ける必要がある職種です。卒業してからも講習会等にて知識・技術を学んでいきます。ただ学生の時と違うのは、とても膨大にある勉強会の中から自分が興味ある分野を選択し特化して勉強できる楽しみがあります。学習していくにあたって徐々に知識の引き出しを増やしていき、患者様にあったアプローチを選択でき、患者様の回復していく姿がみれて「あなたが担当の理学療法士でよかった。ありがとうね」そう言われた時、「今まで頑張ってきてよかった」とモチベーションを上げる事となり、「また理学療法士になって良かった」そう思える瞬間の一つでもありました。学生のうちから好奇心と向上心を持ち、学生同士で切磋琢磨し勉強していく姿勢を作る事が大切だと考えます。
実習生であっても施設に行けばその施設の一員です。学生さんの何気なく悪気がない行動であっても施設の評判を落としてしまう可能性もあります。逆をいえば学生さんの姿勢や行動、雰囲気によって、お世話になっている施設の評判を上げたり、専門学校の評価を上げる事も出来る可能性があります。気負わずにしかし医療人としての自覚をしっかり持つ事が大切です。
現在コロナウィルスの影響もあり、実習地で実習をする期間が短くなったりしている現状です。病院勤務の際に学生時代に全く実習を経験していない新人理学療法士が入職しましたが何も問題なく患者様に寄り添え、理学療法を行えていました。その新人職員には上記にあげた1~6が備わっていました。これから理学療法士になろうと頑張っている学生さん。知識が足りなくても問題ありません。それは現場でも一緒に勉強できます。是非この1~6を意識して理学療法士としての資質を磨き日々学校生活を送って頂きたいです。