1. HOME
  2. ブログ
  3. 自分らしく、その人らしく、暮らす

自分らしく、その人らしく、暮らす

こんにちは。作業療法学科の宗像です。
今回は、私が沖縄に来て出会った、Mさんのことをお話させていただきます。

Mさんとの出会いは、Zoomでの会議でした。
その会議は、Mさんが学院に講師として来ていただくため、どの学科のどの科目に入っていただくかを決めるために行われました。
Mさんは、ご自身が学生に伝えたいこと、伝えられることを完結に教員たちへ話してくださっていました。
その時、私が感じたこと「この人と、もっと話をしたい!」ただただそれだけでした。
Mさんのお話はとても魅力的でした。

Mさんは10代の頃に交通事故で頸椎損傷を呈し、現在は車いすの生活を送られています。
約1年前に単身沖縄に移住されたとのこと。元々Mさんは車いすトラベラーとして世界中を飛び回る生活をされていたそうですが、新型コロナウイルスの影響で海外渡航が難しくなり、”沖縄なら旅することや、自分らしく生きること“を発信できると思い移住を決められたそうです。

Mさんの生活は私なんか足元にも及ばないくらいパワフルでとてもとても活動的です。
月の半分はイベントや仕事などで日本中を飛び回っていて、沖縄でMさんにお会いできるのは実はレアです。

先日、Mさんからお誘いをいただき、スキューバダイビングの体験に同行させていただきました。
「え!?誰が潜るの!?」と皆さんお思いになるかもしれませんが、もちろんMさんです。
その時は、Mさんのお友達のAさんとお二人でスキューバダイビングを行いました。
AさんもMさんと同じような障害をお持ちです。

今回のスキューバダイビングに向けては、ダイビングのプロが企画・運営し数回の打ち合わせを経て実施となりました。
当日も、海に出る前に念入りな打ち合わせを実施し、ウエットスーツを着用し車いすにて船の近くまで移動、3人で両側と前方から抱える形で船へ移乗、船の上はシャワーチェア(実際はお風呂で使う椅子)に座って移動しました。
船はかなり揺れ、Aさんを前方から支えていた私はちょっと船酔いしながらポイントへ移動しました。
ポイントに着いてからは、先程と同じように両側から抱え船の縁へ移動し胸のところにタオルを巻いてゆっくりと入水し、海の中でライフジャケットとボンベを装着しダイビング開始です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Mさん、Aさんにそれぞれパートナーがついて移動していきました。
ゆっくりと着実に海の中を進んでいらっしゃる姿を、私はシュノーケリングしながら上から見ることができました。
ダイビングの時間は20分程度でしたが、船に戻ったお二人は「最高だった!」とお話されていました。
後日の反省会でAさんがおっしゃっていた、
「障害をおってから、海に入れるなんて思っていなかったんで、潜ってる時間は一瞬のような一生のような時間でした」
と話されていたのがとても印象的でした。
Aさんを誘ったMさんはとても嬉しそうな表情をされていました。

Mさんは本当にたくさんのことにチャレンジされています。

そして、そのチャレンジに障害を持っているお友達を誘って一緒に行っていらっしゃいます。
Mさんはいつも「もっとたくさんのことにチャレンジしていきたい。障害を持っていても何でもできることを伝えたい。その考えを学生さんたちにも知ってほしい。」と話されています。
私はMさんのチャレンジのお手伝いを、Mさんが必要だと思った時にさせていただいています。

Mさんは自分のチャレンジで多くの方に勇気をわけてくださっている、それがMさんらしさなのではないかと思います。
そして、私はMさんのようにチャレンジしたいと思っている方や、その一歩を踏み出す勇気が持てない方の側で、そのチャレンジが安心して進めるように、勇気を持って一歩踏み出せるように寄り添うことが私らしさなのかもしれないとMさんとの関わりで改めて感じています。

私たちの生活は多くの作業(生活行為)から成り立っていて、その作業はやりたいことや、やりたくないことなど、いろいろとありますが、その作業を行うことで私たちは健康でいられます。
作業の形(方法)や何を大切に思うか、人それぞれ違いますが、それぞれ違うから支え合って生きていけるのかもしれません。
Mさんと私の、その人らしさは少し違いますが、同じように誰かの役に立っているんだと思います。

今回は、私の友人のMさんについて紹介させていただきました。
Mさんは、現在も学院の講師として活躍してくださっています。
Mさんのお話や、Mさんとの関わりは学生たちの大きな学びとなっています。
これからも、Mさんたちの力を借りながら、学院はより実践的な講義を通して専門的な知識と医療人としてのプロを育成していきます。

そして、私の仕事は作業療法士です。
MさんやAさんや、何かにチャレンジしたい方のお手伝いをするのが仕事です。
そのお手伝いが、関わった方やその周りの方々の人生をさらに彩られるようにすることが私の喜びであり役割だと感じています。

これからも、Mさんのチャレンジは続き、私も微力ながらお手伝いさせていただきたいと思っていますし、できれば学生たちにも関われるように準備を進めています。
そのチャレンジについては、またの機会にご報告させていただきます。

琉リハSNS