2020.04.28 (火) コラム
ソーシャルワーク専門職である社会福祉士を取り巻く現状と求められる役割
社会福祉士は、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって社会福祉に関する
相談援助を行うことを業とする名称独占の国家資格です。
社会福祉士は、高齢者支援、障害児・者支援、子ども・子育て支援、
生活困窮者支援といった広い分野にわたっており、
各種制度においてそれぞれの制度の目的を達成するため、
多くの社会福祉士が配置されています。
支援対象者のニーズや置かれている環境の違いを考慮し、
養成課程で習得したソーシャルワークの知識や技術、
社会保障制度や各種制度におけるサービスの知識等を活用し、
生活の質(QOL) の向上に向けた支援やウェルビーイングの状態を高めることを
目指して相談援助を中心に実践に取り組んでいます。
社会福祉士の主な就職先は、高齢福祉、障害福祉、医療、児童・母子福祉関係、地域福祉、
行政相談所と様々な場所で活躍しています。
その職種は多様で、相談員・指導員、介護 支援専門員、施設長・管理者、事務職員、
生活支援員、介護職員(ホームヘルパー含む) に従事しています。
行政では専門職採用枠で社会福祉士のニーズが高まってきており、
琉球リハビリテーション学院近隣の市役所でも、毎年1~5名の社会福祉士が採用されています。
教育分野においては、教育と福祉を結ぶスクールソーシャルワーカーの役割が重要とされており、
沖縄県教育委員会の令和 2 年度スクールソーシャルワーカー求人は 20 人と過去最高で、
給与体系は本土並みの待遇となっています。
採用条件には社会福祉士が含まれています。
司法分野は、刑事施設及び少年院の受刑者等の出所後の地域生活支援のために、
社会福祉士の活用や相談支援体制の整備等の必要性が指摘されています。
このように社会で支援を必要とする場に
ソーシャルワーク専門職である社会福祉士の持てる知識と技術が活かされています。
時代とともに各分野におけるニーズは複合・複雑化してきているため、
社会福祉士の役割は分野ごとの専門職ではなく多様な個から地域のニーズに対応する
ジェネラリストとしての役割が期待されてきています。
福祉のみならず、医療、保健、雇用・就労、住まい、司法、商業、工業、農林水産業、
防犯・防災、環境、教育、まちおこし、多文化共生などの支援関係機関が連携し、
地域住民が主体的に地域課題を把握し、解決を試みる体制構築を図り、
包括的に支援する体制を整える役割も大きく期待されています。
既存のサービスでは対応できない課題の早期発見や
必要に応じて社会資源を作り出す起業家的アイデア創出も
社会福祉士に求められる役割であるといえます。
近年は、災害後の支援現場で働く社会福祉士も増えてきており、
各地で災害支援対応研修が盛んにおこなわれています。
世界ソーシャルワーカー連盟のグローバル定義に基づき、
広い視野を持ったソーシャルワーク実践ができる社会福祉士が求められているのです。