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2021.03.03 (水) ブログ

四季の行事と作業療法

四季の行事と作業療法

3月3日は女の子の健やかな成長を願う桃の節句“ひな祭り”🍑

日本には、四季折々の年間行事があります。私たちの人生・生活の中にもその四季の行事が大きく影響していると言えます。

例えば、お正月にはおせち料理を食べたり、2月は節分で豆を年の数だけ食べる…そして本日ひな祭りは、ひな人形を飾り、白酒・菱餅・雛あられなどをお供えしてお祝いします。

  このような四季の行事は、時代とともに少しずつ変化しながらも、子供から高齢者まで一度は楽しみ、一年のリズム(節目を刻んだり、気持ちを切り替えたり)を作ったり、“季節感”というものを感じさせてくれます。このように自然と私たちの生活に彩りを加え、豊かにしてくれるのが、四季の行事だといえます

日本三大つるし飾りのひとつ

福岡“柳川雛祭りさげもんめぐり”の様子

 

 作業療法では、その人の生活に焦点をあて、人生に彩りを与えその人が望む人生を支援します。多くの高齢者施設や精神科病院では、このような四季折々の行事を作業療法の中に取り入れています。

今月は“ひな祭り”レクレーションや創作活動、回想療法が行われているのではないかと思います。

私が臨床で作業療法をしていた時も、33日は調理活動でちらし寿司を作ったり、甘酒を楽しんだりしていました。

私が、認知症治療病棟で作業療法(ひな祭りレクリエーション)を行う際に、患者様の笑顔を引き出すため必ずしていたコミュニケーションがあります。

それは“雛壇はすぐに片づけないとお嫁にいけない?”というひな祭の迷信です。

男性の患者様は「(嫁に行けなかったら)自分がもらってあげる」と笑い、それを聞いていた女性の患者様は「お金いっぱい貰いなさいね」と笑い、病気により感情表出が少なくなった患者様が笑い、病棟は楽しい雰囲気に包まれます。

重度の認知症になると会話が難しくなりますが、最後まで残る能力は「微笑む能力」といわれいます。

「微笑む能力」QOL(生活の質) が高いことの指標とあり、最重度認知症の究極の QOL (生活の質)は「笑顔」であると…※。

4月から作業療法士として働くみなさん、機能訓練や生活支援の関わりの中で行事や行事にまつわるコミュニケーションを取り入れ、世代間の交流、双方が楽しい作業療法をしてください。

※参考文献:山口晴保:認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント第2. 協同医書出版、2010pp177-178.

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