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2020.04.02 (木) コラム

【コラム】 作業療法とは??

作業療法とは??

「作業療法ってなんですか?」

「理学療法と何が違うの?」

など、作業療法士として働いているとこんな質問をよくいただききます。

魅力的な専門職の「作業療法士」ですが、まだまだ知名度は低く、知らない方も多いかと思います。

今回は、そんな作業療法についてご紹介します。

 

 

〈リハビリテーションとは?〉

まず「リハビリテーション」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?

リハビリテーションの専門職には、

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士、柔道整復師などの職種があります。

それぞれが専門性を活かしてチームで行っている総称がリハビリテーションになります。

 

では、リハビリテーションとは何でしょうか?

リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+habilitation(適した)という意味です。

よく言われる表現としては、「再び適した状態になること」や「全人的復権」と言われたりします。

 

リハビリテーションと聞いて多くの方は、運動をしているイメージを思い浮かべるかと思います。

しかし、これらはリハビリテーションの一部分であり、

実際は色々な専門性を持った医療専門職が関わっています。

 

 

〈作業療法士ってどんな仕事?〉

作業療法士(Occupational Therapist : 以下OT)は作業・生活の専門家です。

生活にしづらさを感じている人、今後しづらくなることが予測される方を対象としています。

その他、個別だけではなく集団に対して作業療法を実施することもあり幅広い分野で活躍しています。

 

日本作業療法士協会の定義では“作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって 目的や価値を持つ生活行為を指す。”とされています。

 

OTは対象者の人生経験や価値観を大切にしています。

“やりたいこと、やらなければならないこと、やることを期待されていること”を教えてもらい、

その方の生活がより豊かになる「作業」の獲得を目指します。

身体機能だけではなく、精神機能や環境(制度や住居など)を含めてその方の生活を考えます。

 

 

 

〈身体障害領域の病院における作業療法士〉

怪我や病気によって、これまで当たり前に出来ていた「作業」が突然出来なくなってしまいます。

この時、理学療法では身体機能の向上や基本動作(寝返る、起き上がる、座る、歩くなど)の

獲得を目的として実施されます。

作業療法では、理学療法等によって向上した身体機能を使って、実際の生活の練習を行います。

トイレや入浴などの日常生活動作が目標になることもありますが、

より豊かな生活の獲得を目指して一人ひとりの対象者に合わせて目標が変わってきます。

作業療法士は、対象者にとって必要な「作業」を寄り添いながら一緒に考えていきます。

必要に応じて、機能回復訓練も実施しますがその先には目標としている「作業」の獲得を見据えています。

 

 

〈作業とは?〉

これまでに「作業」や「生活行為」という言葉が出てきました。

日本作業療法士協会では、これらは同義語として紹介されています。

皆さんがイメージする「作業」と作業療法士の扱う「作業」では、少し認識が違います。

ここでは、作業療法士の「作業」について説明します。

日本作業療法士協会では「作業」とは“日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれ、人々ができるようになりたいこと、できる必要があ ること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。”とされています。

作業の定義は色々なところで提案されていますが、作業は文化や人によって異なります。

 

「入浴」を例に説明していきます。

 

沖縄で入浴というとシャワーを使う人がほとんどです。

沖縄という亜熱帯気候の中で育まれた文化では、汗を洗い流すという意味合いが強く、

身体を清潔に保つためのお風呂ということになります。

 

それでは、本土(寒い所)ではどうでしょうか? 身体を清潔に保つことと合わせて、

温まることやリラックス効果に意味を感じている人が多いかと思います。

次に結婚して子どものいる人の入浴について考えてみましょう。

幼い子どもを持つ親からすると子どもたちと一緒に入る入浴になります。

子どもの身体を洗うといった子どもの事が優先されたりします。

 

一方で一人暮らしをしている人では、自分の好きなタイミングで、好きなように入ることが出来ます。

人によってはシャワーのみであったり、湯船にゆっくり浸かって本を読んだり、

携帯を触っている人もいるかも知れません。

このように、同じ「入浴」と表現される作業であっても人や文化によって、

意味合いや実際の方法は異なっています。

作業療法士は、対象となる方の「作業」を色々な視点で捉えていきます。

そのために、対象者のこれまでの生活や価値観、周囲の環境などに関心を持っています。

 

最後まで読んでくださり有難うございます。

次回は「こころの病」に対する作業療法について書いてみますね。

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