2020.11.06 (金) コラム
『手のリハビリ専門家(ハンドセラピスト)×作業療法』
こんにちは、作業療法学科教員の澤田です。
突然ですが、みなさんは、「手のリハビリ」をご存じですか??
すぐ頭に浮かぶイメージとしては、握力を強化したり、物品を操作したりする「運動機能」としてのイメージではないでしょうか?
間違いではありません。
また、ハンドセラピストという言葉を聞いて思い浮かぶこととしては、アロマセラピィ?アロマでハンドマッサージ?といった感じでしょうか?
もちろん、それも間違いではない・・・でしょう。
今回お話しさせて頂く内容は、『手のリハビリ専門家、ハンドセラピスト』のお話です。
私は専門学校を卒業し、就職してからは「ハンドセラピィ」という分野に携わってきました。(厳密に言うと実習した施設がハンドセラピィ専門の病院だったので、学生の頃から関わり、興味がありました。)そこで、「ハンドセラピィ」についてご説明します。
人は日常生活の中で、手の使用は必須!です。
例えば「食事をする」、「顔を洗う」など日常生活の中で使う手。
また、「庭の手入れ」、「PC操作」、「スポーツ」などの仕事や趣味の中で使う手。
「つまむ・把持(※1)・圧排(※2)」、などの使うために使う手。
または、感覚機能を活用した物の「素材や形・大きさなどを識別」したり、「冷たさや温もりなどを感じる」ために使う手。
他にも、手話や指差しなどで表現したり、手を合わせて拝んだり、「伝える」ために使う手。
ある人の言葉を借りると、「手」と「作業療法」とは切っても切れない間柄です。
ハンドセラピィはリハビリテーションの一分野として、手を使用し作業する人間をモデルとした作業療法のなかで、必然的にまた独特に発展した分野とされています。
現在、手外科医(整形外科医の中でも手または上肢を専門とする医師)とともに多数の作業療法士・理学療法士が臨床に携わり、日本ハンドセラピィ学会会員として100余名が登録しています。もちろん、私も所属している会員のうちの一人です。
その中でも、ハンドセラピストとは、手の疾患の専門的な知識をもってリハビリ治療を行い、損傷された手の機能回復を目指し、「生活する手(Usefu hand)」としての能力を獲得するために、患者様の生活を考えながら指導を行います。
手(手指)は、上肢の中で最も末梢にある器官であり、とても精巧で優れた機能を持っており、複雑な運動を行うことが可能です。したがって、障害を負った手や手術後の手においては、損傷の状態や手術方法に応じたきめ細やかな後療法(リハビリ)を行う必要があるのです。
近年では、手術の技術や使用する機材の進歩により、術後の治療成績は格段に向上しています。ですが、どんなにいい手術でも後療法(リハビリ)次第ではその手の機能向上に寄与することはできないと言われております。
ですので、障害の程度や患者さまのモチベーションには左右されますが術後の良し悪しは後療法で決まる!!と言っても過言ではないかと思います。
ハンドセラピィの実際としては、まずは「評価」
患者様の生活環境を含めた手術前の状態から、受傷時の状態、手術の状態、術後の状態などを情報収集し検査測定を行います。
そして状態を把握し、原因の追究をします。
そして「リハビリ(治療)」
術直後からの患者様を対象とすることが多いので、リスクに十分気を付けながら、個々の目的に合わせて、個別でのリハビリテーションを実施します。
その治療手段のひとつに「スプリント(装具)の作製」があります。
これが、ハンドセラピィ一番の特徴かもしれません。ハンドセラピィ領域におけるスプリント療法は、必要不可欠な治療手段の一つです。
セラピスト作製のスプリントの長所は、患者様の状態に応じてすぐに作成・修正・変更して装着できることです。
患者様一人一人に合ったスプリントを作製するので、その人だけのオーダーメイドで、その人だけの治療のために使用します。
在院日数の短縮により、術後入院して積極的にセラピィを受けられる期間は限られています。
その中で、外来に移行しながらも自宅で自己管理しながら治療が行えるといった点では、スプリントを作製出来るか否かで、良好な治療成績と、生活する手(Usefu hand)の獲得が決まります。
もちろん、基礎知識や作製技術によって差が出る事も否めません。患者様の不利益とならないよう、今後も益々発展しなければならない領域と思います。
『一人一人に合わせたオンリーワンの治療を提供』という概念は、ハンドセラピストを含めた作業療法士ならではの概念ではないでしょうか。と、自負しております。
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聞くより見るが易し。笑
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