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2021.04.13 (火) コラム

世界的に注目されている非認知能力とは?(その1)

世界的に注目されている非認知能力とは?(その1)

「5歳までの教育が、人の一生を左右する」

 

そう言われるほど幼児教育が世界的に注目されています。幼児教育で非認知能力を育てる事が重要とされていますが、今回はその非認知能力について話していきたいと思います。

 

 

IQや学力テストの点数、偏差値などの点数や指標など明確な数字で表すことができる能力が認知能力と言われています。

 

それと対照的に用いられている言葉が非認知能力です。

 

〇非認知能力とは

一口に定義できるものではなく、行動力、思いやり、集中力、意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、諦めない心、計画性、自制心、創造性、自己肯定感、コミュニケーション能力といった、点数や指標などで測ることのできない個人の特性による将来や人生を豊かにする能力のこと全般を指します。

 

〇非認知能力が世界で注目され始めたきっかけ

2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマンが、自信が行った「ペリー就学前プロジェクト」の研究結果などから幼児教育と非認知能力の重要性を指摘したことにより、非認知能力は世界で注目され始めました。

 

〇どんな研究で幼児教育と非認知能力の重要性が分かった?

その研究とは、アフリカのペリー幼稚園で、経済的余裕がなく幼児教育を受けさせられない貧困世帯の34歳の子ども123人を対象として行われました。

グループを2つに分け、一つのグループには2年間、午前中に毎日2時間半、週3回授業を受けさせ、週に1度は教師が家庭訪問し90分間の指導を行いました。

授業を担当する先生は修士号を持つ専門家に限定し、読み書きや音楽などを教えたそうです。

 

 

教育を受けたグループと受けなかったグループの子どもでは、その後の生活や人生にどんな違いが生じるかを、約40年にわたり追跡調査しました。

すると、犯罪率、学校中退、留年率、雇用、麻薬使用、大学入学、就職に優位な差が認められたのです。

 

つまり、乳幼児期に教育を受けることで、その子が大人になってからの、雇用形態や所得、学歴、仕事ぶりや社会的能力に優位な差が生まれることが分かったのです。

 

 

〇文部科学省が求める教育

平成29年に改訂された新しい学習指導要領では、幼児教育において育成すべき資質・能力を「個別の知識・技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱から整理しています。

 

 

3つの柱の一つである「学びに向かう力・人間性等」が非認知能力に当たります。

 

「学びに向かう力・人間性等」

・思いやり

・安定した情緒

・自信

・相手の気持ちの受容

・好奇心、探究心

・葛藤、自分への向き合い、折り合い

・話合い、目的の共有、協力

・色・形・音等の美しさや面白さに対する感覚

・自然現象や社会現象への関心  等

 

 

 

また、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として10の例をあげています。

①健康な心と体

②自立心

③協同性

④道徳性・規範意識の芽生え

⑤社会生活とのかかわり

⑥思考力の芽生え

⑦自然との関 わり・生命尊重

⑧数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚

⑨言葉による伝え合い

⑩豊かな感性と表現

 

 

 

このうち、②自立心、③協同性、④道徳性・規範意識の芽生え、⑤社会生活とのかかわりが、特に非認知能力と関わるものとなっています。

 

幼稚園教育要領に示された10の姿の具体的な内容

②自立心

身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。

 

③協同性

友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。

 

④道徳性・規範意識の芽生え

友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる。

 

⑤社会生活とのかかわり

家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気付き、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみをもつようになる。また、幼稚園内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるととともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりなどを意識するようになる。

 

以上のことから、幼児期に非認知能力を育てることの重要性が分かっていただけたかと思います。

 

次回は具体的にどのように非認知能力を育てたらよいか話したいと思いますので次回コラムもぜひお楽しみに♪

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