2020.08.14 (金) コラム
災害リハビリテーション〜被災された方に寄り添う作業療法士〜
我が国日本は、諸外国と比べて台風、大雨・洪水、土砂災害や地震、津波、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土であるといわれ、東日本大震災、西日本豪雨災害など様々な自然災害が発生しています。
それらは各地に被害をもたらし、そして沢山の尊い命が失われています。
災害からの復旧・復興のためには人々の莫大な努力と労力が必要であり、被災者の方々の労苦は大変なものがあります。
決して災害は他人事ではなく、いつ私達に降りかかってもおかしくないものです。
今回の新型コロナウイルス感染症での、不要不急の外出を自粛する動きも、専門職の介入が必要なように、これも災害の一つかもしれませんね。
そういった災害時に、私たち、作業療法士をはじめ、リハビリテーションの専門職も被災地を訪れ、様々な支援をおこなっています。
今回は、実際に被災地を訪れ、被災者支援をした時のお話をします。
【災害リハビリテーションとは】
災害リハビリテーションとは、大規模災害において、リハビリテーションによる生活支援等により、生活不活病などの災害に関連する死を防ぐことや二次障害を予防することなどを目的に、災害の発生から復興まで各段階に応じた適切な支援活動を行っていくことをいいます。
【災害リハビリテーションにおける支援活動】
リハビリテーションの災害支援活動には様々な取り組みがあります。
例えば、避難所で生活されている被災者の方々の健康状態を把握し、個別に健康管理や運動、生活面での助言を行います。
また、身体に不自由のある被災者の生活を支えるために、自助具等の生活道具やサポーターなどの医療関連器具の処方や被災者のニーズの収集等も行います。
さらに各避難所で実施している体操活動への参加や助言、避難所の環境に対する評価及びその結果による危険性の指摘、その改善方法など生活環境に対する助言・提言などがあります。
避難所は、生活をしていく場として、良好な環境を備えているとは必ずしも言えません。
生活環境の不備や、他の被災者との共同生活になることから、プライバシーの確保も非常に大事になってきます。また、被災者の方々の中には、元々の持病を抱え、治療や療養を続けながらの避難所生活を余儀なくされておられる方も少なくありません。
災害支援において、我々リハビリテーションの専門職は、生活の場としての避難所の環境の評価や改善案の検討や助言・提言を行うことで、避難所生活をより安心・安全の確保を促し、被災者の方の生活を支えていくことも大切な役割のひとつです。
また、避難所では不活発な生活になりやすく、いわゆる廃用症候群(生活不活発病)のリスクも高まっていきます。
被災者の健康管理や体力などの身体機能の低下を防ぐために集団での体操などの活動面や生活動作の助言や指導を行うことで、健康面を支援する活動も大切です。
そして、長期化する可能性のある被災生活でのストレス、将来の生活への不安感など心理面へのサポートも非常に重要になります。
【まとめ】
今回は災害リハビリテーションについて掲載をさせていただきました。今後、いつ起こるかわからない災害に備え、我々リハビリテーションの専門職も平時においての取り組みを欠かさないようにしていかなければなりません。
そのために、私たちは自らのリハビリテーション技術の向上はもちろんですが、災害やその支援に対する研鑽を図っていく必要があります。
国や自治体、各支援団体等との協力や情報共有、他の医療職や関連職種、そして何よりも地域住民の方と協力し、被災された方々に寄り添い共に復旧、復興、生活再建のための支援ができることを目指していくことが大切であると考えています。
琉リハの作業療法学科には、防災士の資格を持った教員や実際に災害支援で現地に出向いた経験のある教員がいます。
「もっと話が聞いてみたい!」という方は、お気軽にお問い合わせください。