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2020.10.02 (金) コラム

障がい者スポーツと理学療法 

障がい者スポーツと理学療法 

障がい者スポーツと理学療法

 

当学院理学療法学科では、障がい者スポーツとの関わりがある教員を中心に学生も障がい者スポーツの体験、障がい者スポーツ選手との関わりを通して、障がい者スポーツの実践的な学びにも励んでいます。

 

 

コラムを通して障がい者スポーツと理学療法の関わりをお伝えしていきたいと思います。

 

皆さんは、パラリンピックが始まった機会をご存知ですか?

パラリンピックの原点は、第二次世界大戦後、イギリスのチャーチル首相がドイツとの戦争激化により負傷し脊髄損傷になる兵士が急増することを見越して、兵士の治療と社会復帰を目的にストークマンデビル病院内に脊髄損傷科を開設したことからはじまり、その科の初代科長に任命されたルードヴィッヒ・グッドマン医師により、企画された大会でした。

 

グッドマン医師は、スポーツを治療に取り入れる方法を用い、車いすによるバスケットボールや、卓球などを実践してきました。

 

1948年7月29日、ロンドンオリンピックにあわせてストーク・マンデビル病院内で男女16名の車いす患者によるアーチェリー大会を実施しています。この大会がパラリンピックの原点と言われています。

 

 

グッドマン医師は、

 

「将来的にこの大会が真の国際大会となり、障がいを持った選手たちのためのオリンピックと同等な大会になるように」

 

以後、この大会は毎年開催され、1952年にはオランダの参加を得て国際大会へと発展し、第1回国際ストーク・マンデビル大会が開催されました。

 

その後、このストークマン・デビル大会は国際的な飛躍を続け、1960年に行われたローマオリンピック後、同様の地ローマで国際ストーク・マンデビル大会が開催されました。(23カ国、400名が参加)

 

 

このローマオリンピック後に行われた国際ストーク・マンデビル大会が、後に第1回パラリンピックとなっています。

1962年、後にパラリンピックと名付けられる国際身体障がい者スポーツ東京大会の開催に向け、準備が始まりました。

 

当時、社会福祉事業振興会会長の葛西嘉資氏、ストーク・マンデビル病院に留学し、グッドマン医師に師事していた社会福祉法人太陽の家(大分県)、フェスピックの創設者の中村裕博士とともに大会開催の準備を進めていました。

 

両氏は、東京大会を車いす使用者だけでなく、すべての身体障がい者が参加できる国際身体障がい者スポーツ大会の開催を決意しました。グッドマン医師の協力のもと、1964年第2回パラリンピックが開催されました。

 

パラリンピックという名称の由来

『オリンピック開催年にオリンピック開催国で行われる国際ストーク・マンデビル大会

Paraplegia(対まひ者)」の「Olympic」

Paralympic」

 

となり、パラリンピックという愛称は、東京大会で名付けられています。

 

その後、対まひ者のみでなく、身体障がい者の国際大会になじみを持たせるため、para(ギリシャ語で対等という意味)+Olympicで「Paralympic」という正式名称となりました。

 

パラリンピックと言う愛称が生まれた東京で再び行われるパラリンピックは、意味深い大会になりそうですね。

日本パラリンピック委員会 https://www.jsad.or.jp/paralympic/what/history.htmlより一部引用

 

日本では、東京パラリンピック後の1966年にはじめての理学療法士が誕生しました。理学療法では、リハビリテーションの一つの手段として運動療法と言う治療法があります。

運動療法とは、身体の一部または全部を使って、身体の機能回復や症状の軽減を行います。この運動療法は、身体面だけでなく、運動を通して心身機能ともに整える効果もあります。

 

障がい者スポーツは、さまざまな障がいを持つ方がそれぞれの残存機能を最大に活かし、競技をします。障がい者スポーツに関わる理学療法士は、アスリートそれぞれの運動機能を評価し、最大限に力を引き出せる方法を検討し、安全にトレーニングできる方法などを考えます。

 

障がい者スポーツ選手は、普段の生活もハンディキャップを抱えながら生活しています。

そのため、競技内で怪我をすると日常生活にも大きな影響をきたしやすくなります

たとえば、車いすで生活している選手が競技で手を怪我してしまった場合、移動手段を失う可能性が出てきます。競技はもちろん、日常生活の質を守るためにも、理学療法士による運動機能評価、残存機能を最大限に活かせるトレーニング方法、フォームの提案は重要だと感じます。

 

 

最後に車いすバスケットボールの井黒選手に質問をしてみました。

 

Q.競技にとって、チームにとって理学療法士とはどのような存在ですか?

初めは、柔道整復師や鍼灸師などと変わらない存在だと思っていましたが、それぞれの病気による障がいのことを踏まえ、機能評価をし、個人への運動指導、チームへの運動指導やフィジカルトレーニングを考えてくれるため安心して競技が出来ています。

どんなスポーツでも怪我は付き物ですが、障がいがない部位(私の場合は、肩が多い)を痛めることで普段の筋トレが出来なかったり、普段の生活でも少なからず影響が出てきます。そんな時、改めて肩関節の複雑な運動を教えてもらうことで肩を痛めた原因が分かってきたり、フォームの改善に繋がったり、こうなったのは肩だけが原因じゃないんだと気付かされることも・・・。客観的に体の機能を評価してくれる理学療法士は私自身やチームにおいても欠かせない大切な存在ですね。

 

 

インタビューのご協力ありがとうございました。

みなさんも一緒にパラスポーツの魅力を感じてみませんか?(^^)

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