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2021.10.15 (金) コラム

医療系学生の臨床実習とは〜作業療法学科〜

医療系学生の臨床実習とは〜作業療法学科〜

作業療法学生の臨床実習ってどこで何をするの?」

作業療法士をはじめとした医療職種を目指す人は、情報を調べていく中で、“臨床実習”という言葉を目にしたり耳にしたりすることが多いのではないでしょうか。

オープンキャンパスに来てくれた方からも、実習についての質問を受けることがあります。

「どんなことをするの?」

「作業療法士の実習はどこでするの?病院?高齢者施設?子供の施設?」など

また実習前の学生からも「実習は厳しい」「怖い」「眠れない」「行きたくない・・・」など不安なものが多いです。

ネガティブな情報や、噂が先行してしまい“実際”が見えてこない人も多いようです。

 

そこで今回は作業療法士の臨床実習を中心に様々な方面から話をします。

まず、作業療法士の学生は3年間のカリキュラムの中で、1年生は※1見学(体験)実習、2年生は※2評価実習(プレ実習)、※3地域実習、3年生は※4臨床(総合)実習と全ての学年で医療をはじめとした臨床現場に実習に行きます。

 

まずWikipediaによると『“臨床実習”とは医療従事者を目指す学生が実際に患者と対面し、診察や実際の治療、カルテの書き方、コミュニケーションのとり方などを目の当たりにすることで臨床での患者とのやり取りを勉強するための授業の一環である。多くの場合、養成施設の最終学年を対象として行わせる。主に有資格者が学生に付いて指導や助言を行ったりする。』とあります。

日本では、国家試験の実技試験を行わないため、これが実技試験の代わりの一つとなっています。

そのため学生は必ず臨床実習行わなければいけません。

昔の臨床実習といえば、症例レポートが重視され、実習終了後も深夜までレポート作成に追われ、睡眠不足や体調不良に悩んだり、指導者がいない場面でも患者さんを評価したり、業務を任されたり、知識・経験の浅い学生には負担が大きいものでした・・・・

しかし、今の実習は違います!

「実習=辛い」を払拭するためにクリニカルクラークシップという実習方式が導入されてきています。クリニカルクラークシップ型実習(通称CCS)とは、実習生の無益な負担を減らし、対象者中心かつ、より現場の作業療法士の働き方に近い臨床参加型の実習です。

具体的には指導者の作業療法士がやって見せて(見学)、指導者監督のもと学生に真似をさせて(模倣)、学生が自分でも考えながら実施していく(実施)

という実習方法で、『模倣』を多くし、学生が様々な経験を出来るように指導していきます。

見学

模倣

実践

 

臨床現場での作業療法士は、カルテ記載はありますが、デイリーノートを書いたり症例報告レポートを書いたりすることはまずありません。

つまり、実習はレポート中心のものから、有資格者と一緒にリハビリに参加し、学んでいくというものに変わってきています。

もちろん、指導者、教員も学生指導についての研修に参加し学んでいきます。

 

そんな指導者や、私たち教員も学生時代には実習に行っています。

楽しかったこと、辛かったこと、失敗と成功の経験がたくさんあります。

また、作業療法士として、臨床現場で働いていた頃は何十人と学生指導してきました。

 

私の経験ですが、学生時代のエピソードと学生指導していた時の、指導者の視点を少し紹介します。

これから、医療職種を目指す人や、実習に行く人のヒントになればと思います。

1年次の見学実習はイギリスで病院や施設を巡り非常に楽しいものでした。

そのため、日本の医療現場を見たのは、2年次からでした。

精神科病院での実習は充実し、学生ということもあり患者さんからはやさしく接してもらいました。

指導者の先生は、「治療者が作業療法を楽しまなければ患者さんにいい作業療法は提供できない」という考えで、評価実習では精神科作業療法の楽しさを学びました。

3年次も、精神科作業療法の治療実践を学びたい、別の精神科病院を見てみたいと、もう一度精神科病院に実習に行きました。

そこでは、作業療法以外に、日本の精神科医療の現状を目の当たりにし、衝撃をうけましたが、患者さんと長く一緒に過ごすことで変化が実感でき楽しかったです。

辛かったことは、家に帰ってからのレポート作成と、それにより週末が潰れてしまうことでした。

また実習はすべて県外に行ったため、慣れない土地にストレスも感じていました。

そんな時は「なぜ作業療法士になりたいのか」「社会人になったら何がしたいか」を考え目的を見失わないようにしていました。その辛い思い出があるからこそ、今は楽しいです。

 

作業療法士になり3年目には学生指導をしていました。

印象に残っている学生の一人は、患者さんや、職員と話すときはいつもニコニコし、ハキハキ受け答えができる学生でした。

その学生は他の職員からの印象も良く、知識がある方ではなかったのですが、感じた事、考えた事を話すことが上手く、“創造力・想像力”が豊かでした。

何事にも一生懸命取り組み、聞いたことみたことはすぐメモをとり自分に吸収していました。

私自身も、この学生から学ぶことはたくさんありました。

 

現場の作業療法士として、学生に求めることは“笑顔で挨拶ができる”や“積極的に学ぶ姿勢を示す”ことで、知識は二の次だと思います。

教員になり「どんな人とも関係を合わせることができる」魅力的な学生に育てていくことは大切だと思いました。

私自身、臨床実習で指導者に教えてもらったこと、学生から学んだことはこれからの教員生活で大切にしなくてはいけない事だと思っています。

1 見学実習・・・実際の現場や関連職種の仕事の様子を見学し一連の業務内容を理解して、作業療法士としての基本的姿勢を身に付けます。

2 評価実習・・・身体障害・精神障害など作業療法士が関わる領域の実際の対象者に作業療法評価(医療面接、検査・測定、動作観察など)の技術・能力を身に付けます。

3 地域実習・・・地域在住の対象者や地域での作業療法の役割と基本的態度,他職種の役割を学び指導・援助ができる技能を身につける.

4 臨床実習:身体障害、精神障害、老年期障害、発達障害のうち、2領域で長期的に対象者を担当し、評価、目標設定、治療計画立案、治療までを実施し、組織の一員としての実務や業務管理を経験し、作業療法士としての実践的な能力を身に付けます。

 

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